会員登録不要の高品質書式テンプレートサイト

年末調整、今年の変更点だけ先取り整理。書類と手順はここが変わる

年末調整、今年の変更点だけ先取り整理。書類と手順はここが変わる

給与担当者にとって、令和8年分の年末調整書類をどこまで差し替えるかは迷いやすいですよね。ここでいう差し替えは、前年分の様式と計算表を令和8年分へ替えることです。11月までの源泉徴収は従来どおり。書類、計算表、給与ソフトは11月中に更新し、12月は令和8年分で年税額を計算します。

年末調整では、4種類の申告書を1枚の用紙で使います。内訳は、基礎控除、配偶者控除等、特定親族特別控除、所得金額調整控除です。以下「4種類をまとめた申告書」と呼びます。「計算表」は、給与所得控除後の給与等の金額の表です。

差し替えるのは、扶養控除等(異動)申告書、4種類をまとめた申告書、保険料控除申告書、計算表です。

次の一覧には、制度変更4点と令和8年分書類の取得先を並べています。

  • 基礎控除は最大95万円から最大104万円へ(合計所得金額2,350万円超は変更なし)
  • 給与所得控除の最低保障額は65万円から74万円へ
  • 扶養親族等の所得要件は4区分で引上げ
  • 23歳未満の扶養親族がいる社員は、新契約の一般生命保険料控除が通常4万円から6万円へ(令和8年分・令和9年分のみ)
  • 令和8年分の申告書一式は国税庁の令和8年分ページから取得する

令和8年分の年末調整で変わる4点

令和8年分で変わる4点

令和8年分の改正は、基礎控除、給与所得控除、扶養親族等の所得要件、生命保険料控除の特例の4点です。4つの変更点は、国税庁が令和8年分の案内で公表しています。金額と範囲を先に押さえれば、直す箇所が決まります。

4点のうち3点は、控除額と所得要件の変更です。残る1点は、23歳未満の扶養親族がいる人の生命保険料控除の特例です。

基礎控除の引上げ

基礎控除は、合計所得金額に応じた段階的な引上げです。前年までの最大95万円が、令和8年分は最大104万円になりました。合計所得金額2,350万円超の範囲は、前年までと変わりません。

基礎控除の申告には、4種類をまとめた申告書を使います。給与担当は、社員が提出した申告書の合計所得金額と、令和8年分の基礎控除額を照合してください。給与ソフトが令和8年分に対応しているかも点検します。

給与所得控除の最低保障額

給与所得控除の最低保障額は、65万円から74万円へ引き上げられました。給与収入220万円超に係る給与所得控除額は、変更ありません。

計算表は、国税庁が公開する冊子「令和8年分 年末調整のしかた」の47ページに掲載されています。前年分のままでは、年税額も前年の基準で計算されます。12月の計算前に、年分表記を確かめてください。

扶養親族等の所得要件

所得要件は4つの区分で動きました。扶養親族と同一生計配偶者は、合計所得金額58万円以下から62万円以下へ変わりました。同一生計配偶者とは、社員と生計を一にする配偶者のうち、合計所得金額が62万円以下の人を指します。

特定親族とは、19歳以上23歳未満の親族で、合計所得金額が62万円超123万円以下の人をいいます。前年までの要件は、58万円超123万円以下でした。

配偶者特別控除の対象配偶者は、58万円超133万円以下から62万円超133万円以下へ変わりました。勤労学生は、85万円以下から89万円以下が要件です。

事業専従者は、個人事業を主に手伝い、青色申告の専従者給与または白色申告の事業専従者控除の対象となる家族です。該当する家族は、扶養親族や同一生計配偶者に含めません。この扱いは令和8年分も同じです。詳しい条件は、国税庁の冊子「令和8年分 年末調整のしかた」で確認します。

ここまでは合計所得金額で示しました。次の一覧は、扶養親族・同一生計配偶者、特定親族、配偶者特別控除の対象配偶者、勤労学生の4区分を給与収入に換算した額です。各項目は、区分名、変更前、令和8年分の順に並べます。

  • 扶養親族・同一生計配偶者(給与収入):変更前123万円以下 → 令和8年分136万円以下
  • 特定親族(給与収入):変更前123万円超188万円以下 → 令和8年分136万円超197万円以下
  • 配偶者特別控除の対象配偶者(給与収入):変更前123万円超201万5,999円以下 → 令和8年分136万円超207万円以下
  • 勤労学生(給与収入):変更前150万円以下 → 令和8年分163万円以下

特定親族特別控除は、特定親族がいる社員が受けられる控除です。改正で新たに扶養親族または同一生計配偶者となる家族について控除を受ける社員は、扶養控除等(異動)申告書を提出します。特定親族特別控除を受ける社員は、4種類をまとめた申告書を提出します。提出がないと控除の対象に入れられないため、前年の申告書だけで判断しないでください。

23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除

年齢23歳未満の扶養親族がいる人には、生命保険料控除の特例があります。新生命保険料とは、平成24年1月1日以後に締結した新契約に基づく保険料です。旧生命保険料は、平成23年12月31日以前の契約に基づく保険料をいいます。区分は、保険会社の控除証明書と保険料控除申告書で照合します。

新生命保険料に係る一般生命保険料控除の限度額は、通常は4万円です。ただし令和8年分と令和9年分は、特例として6万円になります。生命保険料控除全体の合計限度額12万円は、変わりません。

該当するのは、23歳未満の扶養親族がいて、新生命保険料を支払っている人です。保険料控除申告書も令和8年分の様式を使います。全員に関わる改正ではありません。23歳未満の扶養親族がいる社員へ先に伝えると回収が早く終わります。

年末調整の変更前と令和8年分の比較

施行日と11月までの事務

改正は原則、令和8年(2026年)12月1日施行です。令和8年分以後の所得税に適用されます。令和8年11月までの源泉徴収事務は変わりません。前年と同じ手順で進めてください。

差が出るのは12月です。改正後の基礎控除と令和8年分の計算表で年税額を出します。年税額と11月までに徴収した税額との差額を、12月の給与で精算してください。

社内通知には、社員が書類を出す社内期限を書きます。施行日と同じ欄に置くと、12月1日を提出期限と読み違えるおそれがあります。制度の施行日は、社内期限と別の欄に分けてください。

令和8年分の年末調整を進める5手順

変更点と対応の一覧表

表は、変更点、変更前、令和8年分、給与担当の対応の順です。「扶養親族等の所得要件」の行には、4区分のうち扶養親族と同一生計配偶者の金額を載せています。残る3区分(特定親族、配偶者特別控除の対象配偶者、勤労学生)は、前段の給与収入換算一覧で確認してください。

変更点変更前令和8年分給与担当の対応
基礎控除最大95万円最大104万円計算に使う金額を更新
給与所得控除最低65万円最低74万円計算表を差し替え
扶養親族等の所得要件58万円以下62万円以下4区分の判定基準を更新
新契約の一般生命保険料控除通常上限4万円特例上限6万円23歳未満の扶養親族がいるか確認

社内期限は、12月の給与計算日から逆算します。確認と不備の差し戻しに2週間取れる日を選んでください。12月初旬に計算する会社なら、11月20日前後が目安です。決めた締切と提出先は、社内の案内文に書きます。

年末調整でつまずきやすい3点の確認

令和8年分の年末調整を進める手順

手順は5段階です。次の番号付き一覧を1から順に進めると、旧様式を配る手戻りを防げます。

  1. 国税庁の令和8年分資料を取得
  2. 給与ソフトと計算表を確認
  3. 令和8年分の様式を配付
  4. 必要な令和8年分の申告書を回収
  5. 12月に年税額を計算

各段階で見るものは次のとおりです。

1. 国税庁の令和8年分資料を取得する

取得するのは、「令和8年分 年末調整のしかた」と「令和8年分 各種申告書・記載例」の2点です。

計算表は1点目の47ページにあります。2点目には、4種類をまとめた申告書、保険料控除申告書、扶養控除等(異動)申告書が収録されています。

4種類をまとめた申告書の正式名称は次のとおりです。

給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼給与所得者の特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書

ファイル名に「令和8年分」を入れて保存します。配付前に、様式の年分表記も確認してください。

2. 給与ソフトと計算表を確認する

給与ソフトは、令和8年分対応版へ更新します。提供元の改正対応案内も確認してください。未対応なら、12月の年税額を計算し直すことになります。

Excel等で計算する場合は、2か所を点検しましょう。給与所得控除の最低保障額の設定が74万円か確認します。基礎控除の段階別金額も、令和8年分の額へ差し替えてください。段階別の金額は、手順1で取得した令和8年分 年末調整のしかたの基礎控除の表で確認します。合計所得金額の区分ごとに転記してください。

3. 年末調整の対象者へ令和8年分の様式を配付する

配付するのは、令和8年分の様式、国税庁の記載例、社内の案内文の3件です。社内の案内文には、社内期限、提出先、相談窓口を書きます。窓口は給与担当に一本化しておくと、問い合わせが分散しません。

案内文の一文は、「令和8年分の申告書は11月20日までに給与担当へご提出ください」程度で足ります。この日付は社内期限の例なので、自社の日程へ置き換えてください。配付時は、23歳未満の扶養親族がいる社員へ生命保険料控除の特例を伝えます。長い制度説明より、期日と提出先が目立つほうが提出は早く集まります。

4. 必要な令和8年分の申告書を回収する

扶養控除等(異動)申告書では、氏名、続柄、生年月日、所得見積額、異動年月日を確認します。特定親族特別控除を受ける社員は、4種類をまとめた申告書の該当欄も確認してください。

所得見積額の記入例
扶養親族本人の令和8年分の給与収入見込みを120万円とします。給与所得控除の最低保障額74万円を引くと、所得見積額は46万円です。62万円以下なので、扶養親族の所得要件を満たします。社員本人の収入ではなく、扶養親族本人の見込み額を使ってください。

23歳未満の扶養親族がいる社員の生命保険料控除は、書類2点を照合します。保険料控除申告書の該当欄と、保険会社の控除証明書です。手順3で声をかけた社員から、2点の提出状況を先に確認します。

回収では、社員名、書類名、受領日を回収記録表へ残します。紙と電子が混ざる場合も、この表で提出状況を一元管理してください。未提出者へ連絡する担当は、給与担当の中で決めます。

5. 12月に改正後の計算表で計算する

12月の年末調整では、改正後の基礎控除と令和8年分の計算表で年税額を計算します。11月までに徴収した税額との差は、ここで精算されます。計算の前に、申告書の年分表記と記載内容をもう一度確認しておくと安心です。

申告書に不備がある人には、社内期限までに出し直してもらいます。差し戻しの連絡先も、給与担当でそろえます。

年末調整処理は、申告書の回収、年分確認、差額精算の3点が終われば完了です。

  1. 対象社員から必要な令和8年分の申告書を回収済み
  2. 基礎控除と計算表の年分が令和8年分
  3. 年税額と11月までの徴収税額との差額を精算済み

新たに扶養親族や同一生計配偶者となる家族の控除を受ける社員は、扶養控除等(異動)申告書を提出します。特定親族特別控除を受ける社員は、4種類をまとめた申告書を提出します。生命保険料控除を受ける社員からは、保険料控除申告書を回収しましょう。社員ごとに該当する申告書を確かめてください。


つまずきやすい場面と対処

前年の様式、扶養の判定漏れ、生命保険料控除の特例を順に確認します。

前年の様式が混ざる

見分け方は、様式の年分表記です。配付前にファイル名と様式の表記を一度見れば、ほとんど防げます。令和7年分の様式で提出した社員には、令和8年分の様式での再提出を依頼します。

扶養の判定を前年の基準で進める

所得要件は58万円以下から62万円以下へ変わりました。給与収入だけなら136万円以下が目安です。前年対象外の家族も、令和8年分で再判定してください。

判定に迷う社員については、給与担当が社員名、書類名と欄、確認相手、回答期限を1行にまとめます。この一覧が「確認待ち記録表」です。提出状況をまとめる回収記録表とは別ファイルで管理してください。相談先は、所轄の税務署や顧問税理士が一般的です。

生命保険料控除の特例を見落とす

特例の対象は、23歳未満の扶養親族がいる人に限られます。手元の扶養控除等(異動)申告書で生年月日を確認し、対象者を先に絞ってください。

なお、社会保険料率など年末調整以外の更新時期は、給与計算で「いつ・どこを」更新するかの年間チェックで確認できます。

まとめ

変更点は、基礎控除、給与所得控除、扶養親族等の所得要件、生命保険料控除の特例です。基礎控除は最大104万円、扶養親族と同一生計配偶者の所得要件は62万円以下です。

11月までは従来の手順で源泉徴収します。12月は令和8年分の計算表で精算します。新たに扶養対象となる家族がいる社員からは、扶養控除等(異動)申告書を回収してください。

今日やる5つ

下の5項目が今日の作業です。申告書と記載例を取得し、計算表の年分を確かめます。給与ソフトが令和8年分へ更新できるかも、提供元の案内で確認してください。

  • 令和8年分の申告書と国税庁の記載例を取得する
  • 計算表が令和8年分かを見る
  • 扶養控除等(異動)申告書の生年月日から、23歳未満の扶養親族がいる社員を抜き出す
  • 社内の案内文に社内期限、提出先、相談窓口(給与担当)を書く
  • 給与ソフトの令和8年分対応を提供元の案内で確認する

扶養控除等(異動)申告書、4種類をまとめた申告書、保険料控除申告書と計算表を令和8年分へ差し替えます。給与ソフトの対応確認までで、書類とソフトの切替は終了です。年末調整処理は、申告書の回収、年分確認、差額精算が終わって完了します。

参考情報

  • 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」(国税庁サイト)
  • 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた(昨年と比べて変わった点)」(PDF)
  • 国税庁「令和8年分 各種申告書・記載例」(国税庁サイト)

参考情報


Q&A

11月までの毎月の給与計算は、何か変える必要がありますか?

2026年11月までの毎月の源泉徴収事務に変更はありません。改正は原則2026年12月1日施行で、2026年分以後の所得税に適用されます。12月の年末調整から、改正後の基礎控除と令和8年分の給与所得控除後の給与等の金額の表を使って年税額を精算します。

前年の申告書様式をそのまま使えますか?

令和8年分の様式へ差し替えます。4種類をまとめた申告書は、改正に伴い前年分から様式が変更されました。保険料控除申告書と扶養控除等申告書も、国税庁の令和8年分のページから令和8年分を取得してください。

改正で新たに扶養要件を満たす親族がいると社員から申告されたら、どうしますか?

該当社員に扶養控除等(異動)申告書等を提出してもらいます。扶養親族・同一生計配偶者の所得要件は合計所得金額62万円以下、給与収入だけなら136万円以下です。判定に迷う場合は、国税庁の令和8年分の資料や所轄の税務署で確認すると安心です。

著者

塩野谷 拓

2nd CORE代表。建設会社で7年間、総務・経理を中心とするバックオフィス実務を経験し、2022年に独立。

現在はフリーランスとして、一人社長・個人事業主を中心に、事務・経理代行、バックオフィス業務改善、Web制作を支援しています。現場で培った経験をもとに、実務で役立つバックオフィスの整え方を発信。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA