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賞与を支給したら「賞与支払届」。5日以内の手続きと書き方の基本

賞与を支給したら「賞与支払届」。5日以内の手続きと書き方の基本

初めて賞与を支給した直後は、様式のどの欄に何を書けばよいのかが分からず、手が止まりがちです。支給額の確定を待つ間にも、提出までに使える日数は減っていきます。期限の考え方、欄ごとの書き方、提出前の確認順を順に見ていきます。対象者の線引き、社内の給与担当者と加入先へ送る文面、間に合いそうにないときの動き方も、同じ流れで扱います。

提出期限は賞与支払日から5日以内です。書く内容は事業所、対象者、支給日と金額、備考の四つです。迷いやすい場面を一つずつ取り上げ、そのたびにどこを見て判断するかを示します。

届け先は厚生年金保険と健康保険の加入先で、対象は年3回以下の賞与、金額は税引き前の総額です。

賞与支払届の提出期限と作業の流れを示す全体像

賞与支払届の役割と、期限の起点

賞与支払届は、賞与からも社会保険料を計算するために、支給した事実と金額を加入先へ知らせる書類です。期限は賞与支払日から5日以内なので、支給日が決まった時点で提出の時期も決まります。

届出が遅れると、賞与分の保険料の計算も、遅れた期間だけ後ろにずれていきます。後から照会が届く、納付額の確認に時間を取られる、といった手戻りも起きがちです。支給額を決める会議の段階で、提出日までカレンダーに置いておくと動きやすくなります。

期限の起点は支給日

迷いやすいのは、起点を支給日に置くか、締め日や計算を終えた日に置くかです。基準になるのは、実際に支給した日です。社内で決めた予定日や、締め日・計算を終えた日ではありません。土日や祝日をはさむ月は、動ける日が思ったより少なくなることがあります。

日本年金機構が示しているのは「賞与支払日から5日以内」という期限です。起算日の数え方と、5日目が土日祝に当たる場合の提出期限は、管轄の年金事務所か事務センターへ聞きます。聞くのは「支給日を1日目に数えるか」「5日目が休日なら翌開庁日でよいか」の2点で、回答は1行メモに残します。

支給日の前に、氏名と被保険者整理番号まで埋めた下書きを作っておきます。支給日当日から提出の準備を進める形にすれば、日数の余裕を気にせず動けます。

届け先と出し方を先に決める

提出先は、健康保険をどこで管理しているかで変わります。協会けんぽなら、宛先は管轄の年金事務所か事務センターです。事務センターは、郵送の受付をまとめている日本年金機構の事務処理窓口を指します。どちらに出すかは、加入先から届く案内に記載があります。

健康保険組合に加入している場合は、組合への提出も必要になることがあります。自社の加入先がどちらかは、手元の書類で確かめます。見るのは、健康保険・厚生年金保険の適用に関する通知書、資格取得のときに受け取った書類、前回の届出控えの3点です。見つからない場合は、給与・社会保険の担当者か加入先へ尋ねます。

出し方は、電子申請、電子媒体、紙の郵送、窓口持参から選べます。初回に社内で担当と方法を決め、手順を3行ほどメモに残しておくと、次の支給や引き継ぎが楽になります。

年3回以下の賞与と年4回以上の支給を分ける判断の図

社内から支給データを集めるときの文面

賞与支払届を作る過程では、社内や加入先へ連絡する場面が何度か出てきます。ゼロから書くより、宛名・事実・依頼・次の行動をそろえた文面を差し替えるほうが早く済みます。賞与支払届の作成では、支給額が確定するまで金額の欄を埋められません。そこで、支給額の確定を待っていることを伝える文面と、短く催促する文面を載せます。

下の文面は、[ ]で囲んだ箇所を自社の内容へ差し替えて使います。宛先側は[宛先部署名][宛先担当者名]、差出人側は[自部署名][自分の名前]に分けてあります。どちらに何を入れるか迷ったら、この並びで見てください。支給日と回答期限も同じように置き換えます。

支給額の確定を待っていることを伝える文面

件名:賞与支払届の作成状況と支給額確定のお願い(支給日:[○月○日])

[宛先部署名]
[宛先担当者名] 様

いつもお世話になっております。
[自部署名]の[自分の名前]です。

[○月○日]支給の賞与について、届出の作成を進めています。
現在の状況は下記のとおりです。

・対象者の氏名と被保険者整理番号は入力済みです
・支給額の欄は未入力のまま空けています

お手数ですが、下記を[○月○日]までにご確認ください。

・税引き前の支給額
・現物で支給する分の有無

よろしくお願いいたします。

[署名]

短く催促するときの文面

[宛先担当者名] 様

いつもお世話になっております。
[自部署名]の[自分の名前]です。
[○月○日]支給の賞与の届出について確認したく、ご連絡しました。
お手すきの際に、税引き前の支給額をご確認ください。

[署名]

上の2つの文面を送る前に、次の三つを確かめます。

  • 支給日の欄が、予定日ではなく実際に振り込んだ日になっているか見直します。
  • 依頼する金額が、控除前の総額(税引き前)であることを文面に書き添えます。
  • 回答期限が、支給日から5日以内の提出予定日より前に収まっているか確かめます。

準備・作成・確認・共有の4手順を並べた実務フロー

加入先への確認に使う文面

ここまでの2つの文面は、社内の給与担当者へ送るものです。ここからは、加入先の窓口(年金事務所、事務センター、健康保険組合)へ記載方法を尋ねる文面を載せます。角括弧で囲んだ箇所を自社の情報に差し替えれば、そのまま使えます。

加入先の窓口へ確認するときの連絡

件名:賞与支払届の記載方法の確認([事業所名]・支給日[○月○日])

[宛先名] 様

[事業所名]の[自分の名前]です。
[○月○日]に支給した賞与の届出を作成しています。

下記の点について、記載方法を確認させていただきたく連絡しました。

・[70歳以上の被用者の書き方/複数の事業所に勤めている人の扱い など]
・使用する様式と提出方法([電子申請/郵送/窓口]の予定です)

お手数ですが、[○月○日]までにご返信いただけますと助かります。

[署名]

差し替える箇所と、送る前に見るところ

  • 差し替え:事業所名、自分の名前、宛先名、支給日、回答期限、確認したい具体的な論点
  • 送信前:支給日が確定済みか、金額が税引き前か、宛先が加入先の窓口になっているか
  • 文面には自社の判断(対象かどうかの結論)を書かず、確認したい事実と回答期限だけを残します

支給日・対象者・金額・例外・証跡を確認するチェックリスト

記入欄ごとの書き方と記入例

書く内容は、事業所を特定する欄、人を特定する欄、支給日と金額の欄、例外を書く備考欄の四つに分かれます。どの様式でも、この四つの役割は大きく変わりません。

事業所と対象者を特定する欄

事業所整理記号や事業所番号は、加入先から届く通知や前回の控えから写します。記憶に頼らず、書類から転記するほうが安全です。被保険者整理番号は人ごとに決まっているため、氏名ではなく番号で突き合わせます。

人数が多いと、給与計算側の一覧と届出の並び順がずれて、別の人の金額を書く取り違えが起きます。番号順に並べ替えてから転記すると、この取り違えは減ります。

支給年月日と金額の欄

支給年月日の欄に入れるのは、予定日ではなく実際に支給した日です。金額は税引き前の総額で、「通貨によるもの」と「現物によるもの」を分けて書き、その合計を出します。合計のうち1,000円未満は切り捨て、残った額が標準賞与額になります。

標準賞与額には上限があり、その判定は健康保険が年度の累計、厚生年金保険が1か月あたりです。高額の賞与がある場合は、最新の上限額と申出書の有無を確かめます。確認先は日本年金機構の「従業員に賞与を支給したときの手続き」です。

標準賞与額が上限に達する場合でも、「合計」欄には実際の支給総額をそのまま書きます。上限は保険料の計算側で調整されます。

備考欄で扱う例外

備考欄は、通常と違う扱いになる人を知らせる場所です。70歳以上で働き続けている人、複数の事業所に勤めている人などが候補になります。該当しそうなら、空欄のまま出さずに加入先へ書き方を確認します。

同じ月に2回支給した場合は、支給台帳の振込日を見て、その月の支給額を合算し、1行にまとめて届け出ます。支給年月日の欄には、最後に支給した日を書きます。1,000円未満の切り捨ては、合算した後の合計額に対して行います。

退職予定者は、喪失日の前後だけで対象・対象外を決めません。資格喪失届に書いた喪失日と、支給台帳の振込日を並べたうえで判断します。扱いが分かれるのは次の3点です。

  • 支給日が資格喪失月に入っているか
  • 同じ月に資格取得と資格喪失があるか
  • 健康保険の年度累計に含める支給か

該当する場合の書き方は、日本年金機構の「従業員に賞与を支給したときの手続き」で確かめます。判断が分かれやすい場面なので、資格喪失届と支給台帳を手元にそろえて加入先へ確認するほうが早く片づきます。

下は合成した数値による記入例です(実在の事業所の金額ではありません)。

被保険者整理番号氏名賞与支払年月日通貨によるもの現物によるもの合計標準賞与額
12山田 太郎(例)2026年12月10日352,480円0円352,480円352,000円
13佐藤 花子(例)2026年12月10日198,500円5,000円203,500円203,000円

「標準賞与額」は記入欄ではなく、計算結果を確認するための列です。届出に記入するのは「通貨によるもの」「現物によるもの」「合計」の三つです。

書き終えたら、次の三つを見ます。

  • 金額が税引き前で、給与明細の総支給額と一致しているか
  • 合計と標準賞与額が合い、千円未満の切り捨てがそろっているか
  • 備考に該当する人がいないか、いる場合は確認が終わっているか

対象になる賞与と、対象から外れるもの

対象は、健康保険と厚生年金保険の被保険者へ年3回以下で支給した賞与です。年4回以上支給するものは毎月の報酬として扱うため、この届出では出しません。

名称が寸志でも決算賞与でも、回数と性質で判断します。年4回以上の支給は、7月の定時決定で使う報酬側の計算に入ります。算定基礎届(定時決定)の提出手順は算定基礎届(定時決定)、7月提出を迷わない書き方と対象者の基本で整理しています。

対象かどうかの見分け方

  • 対象:被保険者へ年3回以下で支給した賞与、決算賞与、名称が寸志でも同じ性質のもの
  • 対象外:年4回以上支給するもの、社会保険の被保険者ではない人への支給
  • 個別に確認:70歳以上の被用者、複数事業所で働く人、資格喪失月に支給を受ける退職者、同じ月に資格取得と喪失がある人


提出前の確認順をそろえる判断表

下の確認表は、担当者が変わっても同じ順で見られるようにしたものです。上から順に確認します。

確認する項目どこを見るか迷ったときの判断
支給日実際に振り込んだ日、現物を渡した日予定日ではなく実績の日を採用する
対象者被保険者一覧と支給一覧番号で突き合わせ、片方だけにいる人を残して確認する
金額給与明細の控除前の総額通貨と現物を分け、合計と標準賞与額を再計算する
例外資格喪失届の喪失日、支給台帳の振込日、70歳以上、複数事業所同月2回は合算して1行。退職予定者は喪失日だけで決めない。資格喪失月か、同月に取得と喪失があるかを加入先へ確認する
期限と提出記録支給日から5日以内の提出予定、提出控えと受付記録出した日と担当者を1行で残す

支給日から5日で回す段取り

準備、作成、確認、共有の四つに分けると、5日の中でも手戻りが起きにくくなります。支給日より前に準備と下書きを終えておくと、支給後に残る作業は日付と金額の入力だけになります。

四つの区切りでやること

  • 準備:事業所の記号と番号、被保険者整理番号の一覧、支給予定額、使う様式をそろえる
  • 作成:氏名と番号を先に埋め、支給額が確定したら日付と金額を入れる
  • 確認:支給日、合計、標準賞与額の3か所に絞り、できれば別の人の目を通す
  • 共有と保存:控えと受付記録を給与データと同じ場所に置き、ファイル名に年月を入れる

間に合わないとき、書き間違えたときの動き方

5日を過ぎそうだと分かった時点で、加入先へ連絡し、遅れる理由と提出できる見込み日を伝えます。案内された手順に従って速やかに提出し、連絡日と相手の名前を1行で記録に残します。

つまずきやすい場面と、次の一手

  • 支給額が確定しない:氏名と番号だけ埋めた下書きを作り、金額欄は空けておく
  • 提出後に金額の誤りに気づいた:訂正の方法と様式を加入先へ確認し、元データと控えを一緒に残す
  • 予定月に支給しなかった:不支給を知らせる届出が必要になるため、様式名と提出先を確認する

まとめ

賞与支払届は、事業所、対象者、支給日と金額、備考の四つを順に見ると、迷う場所がはっきりします。期限は支給日から5日以内で、支給日が決まれば提出日も決まります。

記入段階で引っかかりやすいのは、通貨と現物を分ける金額欄と、例外を書く備考欄です。備考欄では、同じ月の2回を合算したか、退職者の支給が資格喪失月にあたるかの2点を先に見ると進みます。退職者の扱いは自社で決めず、加入先へ確認する前提で資格喪失届と支給台帳をそろえます。社内の給与担当者へ支給額を尋ねるときと、加入先へ記載方法を確認するときがあります。どちらも本文の文面を自社の情報に差し替えて使えます。

次に確認すること

まず、直近の賞与の支給日をカレンダーに書き、その5日後に提出予定を置きます。次に、被保険者整理番号の一覧と支給額の一覧を並べ、人数が一致するかを見ます。

健康保険組合に加入している場合は、組合側の提出先と期限もあわせて見ておくと安心です。提出先と期限を1行メモに残しておくと、次の支給でも同じ順で動けます。

参考情報


Q&A

提出期限の「支給日から5日以内」は、いつを起点に数えればよいですか。

起点は実際に賞与を支給した日です。給与計算の締め日や決裁日ではなく、従業員へ支払った日から5日以内に提出してください。支給日が決まった時点で提出期限を逆算し、対象者の賞与額を集計しておくと間に合わせやすくなります。

同じ月に賞与を2回支給したときは、それぞれ届け出るのですか。

回ごとに分けず、その月の賞与額を合算して1回で届け出ます。期限はその月の最後の賞与支給日から5日以内です。1回目の支給分をすでに提出済みの場合は、その月の賞与額を合算したうえで改めて届け出てください。

賞与を支給した従業員がすでに退職している場合はどうなりますか。

退職者への支給は、資格喪失日と支給日の関係や加入している制度によって扱いが分かれます。届出が必要かどうかを自己判断で決めず、支給日と退職日を整理したうえで加入先へ確認してください。期限は5日以内と短いため、支給が決まった段階で早めに問い合わせておくと安心です。

著者

塩野谷 拓

2nd CORE代表。建設会社で7年間、総務・経理を中心とするバックオフィス実務を経験し、2022年に独立。

現在はフリーランスとして、一人社長・個人事業主を中心に、事務・経理代行、バックオフィス業務改善、Web制作を支援しています。現場で培った経験をもとに、実務で役立つバックオフィスの整え方を発信。

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