提出した見積書が今どうなっているのか、たどれなくなることってありますよね。見積書はメールの履歴に埋もれ、失注したのか返事待ちなのかも曖昧になります。月末に「あの案件どうなった」と聞かれて、担当者に確認して回る時間が地味に積み上がります。
見積の一覧を一枚に集めて、受注・失注・保留を誰が見ても同じ判断で追えるようにする作り方をまとめます。列は、案件を特定する情報・日付・金額・状態と次アクションの4ブロックで並べます。この4ブロックを軸に、記入例、完成した表の形、運用が止まったときの立て直しまで順番に扱います。
見積の一覧は、案件を特定する情報・日付・金額・状態と次アクションの順に列を並べると迷いにくくなります。
- 見積の一覧は、案件を特定する情報・日付・金額・状態と次アクションの順に列を並べると迷いにくくなります。
- 状態欄は自由記述にせず、提出済・検討中・受注・失注・保留の5つから選ぶ形にします。
- 失注は理由を3〜4種類の選択肢にしておくと、後から傾向を見返せます。
- 次アクション日と担当を必須にすると、確認待ちの案件が表の上で目に見えます。
- まずは進行中の案件だけを入れて運用を始め、過去分は後追いで足すほうが続きます。
営業の見積一覧が必要になる場面
見積の管理表は、次に誰が何をするかを決めるための一覧です。案件名を並べただけの表だと、見た人によって解釈が変わります。何のための一覧かを先に決めておくと、載せる列も自然に絞れます。
提出した見積の行き先を追う
見積書は作った時点で仕事が終わるわけではありません。提出したあと、相手が検討しているのか、社内の稟議に回っているのか、すでに他社に決まっているのか。この行き先が分からない状態が、確認待ちの正体です。
たとえば3か月前に出した見積が、表の上では「提出済」のまま止まっているとします。担当者に聞けば「先方の予算が付かず流れました」と一言で終わる話です。その一言を表に書いておけば、聞きに行く時間そのものが消えます。
受注・失注を後から数えられる形にする
受注と失注をその都度メールで報告していると、四半期の振り返りで数え直す作業が発生します。最初から一覧に入れておけば、状態欄を絞り込むだけで件数が出ます。
失注のほうは、理由まで残すかどうかで価値が変わります。「金額」「納期」「仕様が合わない」「先方都合で見送り」くらいの粗い分け方で十分です。細かく書かせようとすると、忙しい月に入力が止まります。
金額の見通しを一枚で出す
提出済の見積金額を合計すると、今どれだけの商談が動いているかが見えます。受注確度を数字で入れる運用もありますが、最初は状態欄だけで足ります。
確度を入れるなら、担当者の感覚が入る前提で扱うのが無難です。確度の数字が一人歩きして、達成できない前提の計画になると、一覧そのものが敬遠されます。
一覧に入れる列と、その並べ方
列は「案件を特定する情報」「日付」「金額」「状態と次アクション」の4ブロックに分けて並べると読みやすくなります。思いついた順に列を足すと、横スクロールが長くなって誰も見なくなります。
案件を特定する列は3つまでに絞る
見積番号、取引先、案件名。この3つがあれば、同じ相手に複数の見積を出していても区別できます。担当も入れたくなりますが、担当は後ろの「状態と次アクション」ブロックに置くほうが使いやすいです。
見積番号は、見積書そのものに印字している番号をそのまま使います。表と現物の番号がずれると、探すたびに確認が入ります。番号を振っていない場合は、提出日と取引先の組み合わせでも運用できます。
日付は「提出日」と「有効期限」を分ける
日付欄を1つにまとめると、どちらの日付を入れたのか人によって変わります。提出日と、見積書に書いた有効期限は別の列にします。
有効期限を列にしておくと、期限切れの見積を出したまま放置する事故が減ります。期限が過ぎているのに相手が検討中なら、条件を出し直す必要があるかどうかの判断が発生します。その判断に気づける表かどうかの差は大きいです。
金額は税抜で統一し、備考に条件を書く
税抜と税込が混ざると、合計を見たときに実態とずれます。どちらかに統一し、列名に「税抜」と明記します。値引き前提の見積なら、提出額をそのまま入れて、備考に「条件次第で調整余地あり」と一行残す形が扱いやすいです。
複数パターンの見積を出した案件は、行を分けます。1行に「A案300万/B案250万」と書くと、金額を合計するときに手が止まります。
状態欄は選択肢を固定する
ここが一覧の心臓部です。自由記述にすると「検討中」「ペンディング」「保留」が同じ意味で並び、絞り込みが効かなくなります。提出済・検討中・受注・失注・保留の5つに固定し、それ以外の言葉は使わないと決めます。
「保留」は、相手の事情で時期が後ろにずれた案件に使います。失注と分けておくと、半年後に再提案する候補として拾えます。時期がずれただけの案件を失注にまとめると、再提案の候補として見返されなくなります。
次アクション日と担当を必須にする
状態だけでは、誰がいつ動くかが決まりません。次アクション日と担当を必須にすると、表を日付順に並べるだけで今週やることが出てきます。
次アクション日が空欄の行は、放置されている行です。次アクション日と担当の2列は、放置された行をあぶり出すための列でもあります。週に一度この2列の空欄だけを見れば、確認漏れの案件が拾えます。
完成イメージと記入例
列の説明だけだと形が想像しにくいので、実際の並びを出します。以下の表は書式を示すための架空の記入例で、特定の会社の実績ではありません。この形をそのまま表計算ソフトの1行目に入れれば、すぐ使い始められます。
| 見積番号 | 取引先 | 案件名 | 提出日 | 有効期限 | 金額(税抜) | 状態 | 失注理由 | 次アクション日 | 担当 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Q-2609-012 | ○○工業 | 設備更新一式 | 9/3 | 10/2 | 1,850,000 | 検討中 | — | 9/25 | 田中 |
| Q-2609-015 | △△商事 | 年間保守 | 9/8 | 10/8 | 640,000 | 受注 | — | — | 佐藤 |
| Q-2608-004 | □□建設 | 改修工事B棟 | 8/12 | 9/11 | 3,200,000 | 失注 | 金額 | — | 田中 |
| Q-2607-021 | ○○工業 | 設備更新(第2期) | 7/20 | 8/19 | 980,000 | 保留 | — | 1/15 | 佐藤 |
同じ取引先でも案件が違えば行を分けています。有効期限が切れている「保留」の行は、再提案のときに金額を出し直す前提です。次アクション日を翌年1月に置いておけば、忘れた頃に表が思い出させてくれます。
状態を切り替えるタイミングを決める
列を作っても、更新のきっかけが決まっていないと止まります。提出したらその日に1行追加、相手から返事が来たら状態を変える。この2つだけ守れば形は保てます。
受注に変えるのは、注文書や発注メールなど形に残るものを受け取った時点にします。口頭の「進めてください」で受注に変えると、後で受注件数と金額が合わなくなります。失注に変えるのも、他社決定や中止がはっきり伝わった時点にそろえます。
再提案する案件の書き方
保留にした案件を再提案するときは、古い見積番号をそのまま使わず新しく発番します。表の上でも別の行として追加します。
備考に「Q-2607-021の再提案」と残しておくと、前回いくらで出したのかという経緯が追えます。失注理由に「金額」と入っている案件なら、その一語が次の条件を決める材料になります。
作る前にそろえるものと、進める順番
準備、作成、確認、共有の順に分けると、担当者が変わっても同じ形で回せます。いきなり全案件を入力しようとすると、途中で力尽きます。
準備:直近の提出済み見積を集める
過去分をすべて遡る必要はありません。まだ結果が出ていない案件、つまり提出済で返事待ちの見積だけを集めます。決着済みの案件は、後から余裕のあるときに足せば足ります。
集める先は、見積書のファイル保存フォルダと、送信済みメールの2か所が基本です。紙で渡している場合は控えの綴りを確認します。ここで抜けた案件は、後から気づいたときに足せば十分です。
作成:1行目に列名、2行目から入力
表計算ソフトで新規ファイルを作り、「完成イメージと記入例」の表の見出し10列をそのまま1行目に入れます。列名は、見積番号・取引先・案件名・提出日・有効期限・金額(税抜)・状態・失注理由・次アクション日・担当の順です。状態欄と失注理由欄は、入力規則のリスト機能で選択式にしておくと表記が揺れません。
日付の列は、書式を日付型にそろえます。文字列で入力すると並べ替えが効かず、次アクション日順に見る運用ができなくなります。書式の設定だけは最初にやっておくと後が楽です。
確認:3つの基準で完成を判断する
- 状態欄が5つの選択肢だけで埋まっていて、自由記述が混ざっていない
- 「受注」「失注」以外の行に、次アクション日と担当が入っている
- 金額の合計を出したとき、税抜で統一された数字になっている
この3つが通れば、一覧として機能する状態です。見た目の整えや色分けは後回しでかまいません。実際にしばらく使ってから、足りない列を足すほうが無駄がありません。
共有:保存先と更新担当を一文で決める
ファイルがデスクトップにあると、そのパソコンを使う人しか開けない状態になります。共有フォルダかクラウド上に置き、保存先を営業部内に一度アナウンスします。
更新担当は、案件を持っている営業本人にするのが素直です。事務側でまとめて入力する形にすると、情報が届くまでの時間差で表が遅れます。ただし週次で空欄を確認する役だけは、一人決めておくと運用が保ちます。
運用が止まるときの立て直し
作った直後は動いていたのに、しばらくすると更新が止まる。管理表でよくある結末です。止まり方にはいくつかの型があります。
列が多すぎて入力が重い
入力項目が増えるほど、1件あたりの手間は重くなります。しばらく使って一度も絞り込みに使わなかった列は、思い切って削ります。
削るか迷ったら、非表示にしてしばらく様子を見る手もあります。誰も困らなければ、そのまま消して問題ありません。
状態欄の表記が揺れている
入力規則をかけていないと、じわじわ言葉が増えます。気づいた時点で選択肢を提出済・検討中・受注・失注・保留の5つに戻し、既存の値を置換でそろえます。
揺れた表記をそろえる作業は、件数が少ないうちなら短時間で終わります。放置して1年分たまるほうが、後で面倒になります。
誰も見ない表になっている
更新はされているのに、会議でも日常でも開かれない。この状態が続くと入力が止まります。週次の打ち合わせで、次アクション日順に並べた画面を短時間でも開く習慣を作ると変わります。
見られる前提になると、入力の精度も自然に上がります。逆に言えば、見る場面を作らないまま入力だけお願いしても続きません。見る場面をつくってから入力を頼むという順番は、一覧を続けるうえでの前提条件です。
まとめ
- 列は案件を特定する情報・日付・金額・状態と次アクションの4ブロックで並べる
- 状態は提出済・検討中・受注・失注・保留の5つに固定する
- 受注・失注以外の行には、次アクション日と担当を必ず埋める
- まず返事待ちの案件だけを入れて始め、過去分は後追いで足す
- 週に一度、次アクション日順に並べて空欄だけ点検する
案件名を並べただけの表と、次に誰が何をするかまで書いた表では、同じ一覧でも役割が違います。後者にするために必要な列は、案件を特定する情報・日付・金額・状態と次アクションの4ブロックだけです。
次に確認すること
今すぐ手をつけるなら、返事待ちのまま止まっている見積をいくつか探してみてください。見積番号と取引先を書き出し、提出日と有効期限を並べます。期限が近い行から、連絡するかどうかの判断がつきます。
そこに状態と次アクション日、担当を足せば、最初の1行が4ブロックの形で埋まります。全案件をそろえるのは、その後で間に合います。
Q&A
見積一覧の状態欄には、どんな選択肢を用意すればよいですか。
提出済・検討中・受注・失注・保留の5つに固定し、それ以外の言葉は使わないと決めます。自由記述にすると「検討中」「ペンディング」「保留」が同じ意味で並び、絞り込みが効かなくなります。入力規則のリスト機能で選択式にしておくと表記が揺れません。「保留」は相手の事情で時期が後ろにずれた案件に使い、失注と分けておくと再提案の候補として拾えます。
見積一覧の更新は誰が担当すべきですか。
案件を持っている営業本人が自分の行を更新する形が素直です。事務側でまとめて入力する形にすると、情報が届くまでの時間差で表が遅れます。ただし週次で次アクション日と担当の空欄を点検する役は、別に一人決めておくと運用が保ちます。ファイルは共有フォルダかクラウド上に置き、保存先を営業部内に一度アナウンスします。
状態を「受注」「失注」に変えるのは、どのタイミングですか。
受注に変えるのは、注文書や発注メールなど形に残るものを受け取った時点です。口頭の「進めてください」で受注に変えると、後で受注件数と金額が合わなくなります。失注に変えるのは、他社決定や中止がはっきり伝わった時点にそろえます。時期が後ろにずれただけの案件は失注にせず保留にし、次アクション日を数か月先に置いておきます。
著者
塩野谷 拓
2nd CORE代表。建設会社で7年間、総務・経理を中心とするバックオフィス実務を経験し、2022年に独立。
現在はフリーランスとして、一人社長・個人事業主を中心に、事務・経理代行、バックオフィス業務改善、Web制作を支援しています。現場で培った経験をもとに、実務で役立つバックオフィスの整え方を発信。

