受け取った請求書の金額や日付が違っていた——そんな場面、意外と多いですよね。 取引先に訂正や再発行をお願いするとき、どんな言葉を選べばいいか迷うこともあると思います。相手の作業を増やしてしまう依頼だからこそ、言い方次第で印象が変わる気がして、手が止まることもあるはずです。訂正・再発行の依頼文の決め方と、そのまま編集して使える文例を整理します。目的・タイミング・相手に求める行動を先に決めておけば、何をどう書くか迷わずに依頼できます。
訂正・再発行の依頼文は、目的(金額・日付・項目など)、タイミング、相手に求める行動の3点を先に決めて書く。
- 訂正・再発行の依頼文は、目的(金額・日付・項目など)、タイミング、相手に求める行動の3点を先に決めて書く
- 本文は「事実の確認→依頼内容→次の行動」の順に分けると伝わりやすい(件名は用件と発行日を1行で示す)
- 依頼文の文末か社内メモに確認担当者を1名書き残すと、返信を受けた人がそのまま引き継げる
- 相手を責める言い方を避け、事実を淡々と伝える表現にする
訂正・再発行の依頼文で先に決める3点
請求書の訂正や再発行を依頼する文面は、書類の名前よりも目的で考えると判断しやすくなります。訂正・再発行の依頼文は、目的、タイミング、相手に求める行動の3点を先に決めると迷いにくくなります。何を直してほしいのか、いつまでに必要なのか、相手に何をしてほしいのか。最初に整理すれば、文章を書く順番も自然に決まります。
目的をはっきりさせずに連絡すると、相手から「どこを直せばいいですか」と聞き返されることがあります。そこで本文は、①事実の確認、②依頼内容、③次の行動という順番で分けましょう。①では「[発行日]付の請求書で[対象項目]が[正しい内容]と異なっていた」と書きます。②では「訂正版のご発行をお願いします」とお願いし、③では「[日付]までのご返送をお願いします」と期限を伝えます。件名は『請求書の訂正依頼([発行日]付)』のように用件と発行日を1行で示すのが基本です。ただし、相手の記載ミスを指摘する場面では『ご確認のお願い』と少し和らげてもかまいません。
目的の違い
訂正依頼と再発行依頼は、似ているようで目的が違います。訂正依頼は「内容の一部を直してほしい」という依頼で、金額や日付、品名などの記載ミスを対象にします。再発行依頼は「同じ内容の書類をもう一度発行してほしい」という依頼です。理由は原本の紛失や破損、宛名違いなどが多いです。
どちらの依頼かを本文の最初に書いておくと、相手は作業内容をすぐに把握できます。「訂正」と「再発行」を混ぜて使うと、相手が対応範囲を誤解してしまうことがあります。どちらかをはっきり選んで使うのがおすすめです。
タイミングの違い
依頼するタイミングによって、文面の温度感も変わります。受け取った直後に気づいた間違いなら、事実の確認だけで済むことが多いです。支払い処理が進んだ後に気づいた場合は、処理の巻き戻しが必要になります。依頼文に現時点の処理状況を一言添えておくと親切です。
月末や請求締め日の直前に依頼すると、相手の処理が立て込んでいる可能性があります。急ぎかどうかを本文の早い位置で伝えておくと、相手も優先順位を判断しやすくなります。いつまでに訂正版が必要かも、月末や締め日を踏まえて「[日付]までに」と本文に書いておくとよいでしょう。
相手に求める行動の違い
依頼文の最後に、相手にしてほしい行動を一文で書いておきます。「訂正した請求書を再送してほしい」「原本と同じ内容で再発行してほしい」「確認だけしてほしい」などと書くとよいでしょう。「請求書の訂正の件」のような名詞止めより、動作で終える言い方のほうが伝わります。たとえば「訂正した請求書を再送していただけますでしょうか」という形です。
行動の指定がないまま依頼文を終えると、相手は結局何をすればいいのか迷います。本文の最後の一文を、依頼した行動の確認に使うのがおすすめです。
コピペで使える訂正・再発行依頼テンプレート
目的とタイミングが決まったら、あとは文面に当てはめるだけです。よくある3つの場面に分けて、差し替えて使える文例を用意しました。角括弧の部分を、自分の案件に合わせて書き換えてください。
テンプレート1:金額の記載ミスを訂正してほしいとき
件名:請求書の記載内容についてご確認のお願い([発行日]付・請求書番号:[請求書番号]) [取引先名] [担当者名]様 お世話になっております。[自社名]の[自分の氏名]です。 [発行日]付でお送りいただきました請求書について、[対象項目]の金額が [正しい金額]ではなく[記載されていた金額]となっておりました。 恐れ入りますが、ご確認のうえ、訂正版のご発行をお願いできますでしょうか。 つきましては、[日付]までに訂正版をご送付いただけますと助かります。 なお、現時点では当方で支払い処理は行っておりません。 ご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡ください。 何卒よろしくお願いいたします。
テンプレート2:原本を紛失し、再発行をお願いするとき
件名:請求書の再発行について([発行日]付・請求書番号:[請求書番号]) [取引先名] [担当者名]様 お世話になっております。[自社名]の[自分の氏名]です。 [発行日]付でご発行いただいた請求書について、当方で原本を紛失してしまい、 確認ができない状態となっております。 お手数をおかけしますが、同じ内容で再発行いただけますでしょうか。 つきましては、[日付]までにご送付いただけますと助かります。 送付先は[送付先・方法]でお願いいたします。 お手数ですが、再発行のご対応をお願いいたします。
テンプレート3:日付や品名など、複数項目を直してほしいとき
件名:請求書の訂正依頼([発行日]付・請求書番号:[請求書番号]・[対象項目]について) [取引先名] [担当者名]様 お世話になっております。[自社名]の[自分の氏名]です。 [発行日]付の請求書について、下記の点を確認させていただきたく ご連絡いたしました。 ・[項目1]:[現状の記載]→[正しい内容] ・[項目2]:[現状の記載]→[正しい内容] 内容をご確認のうえ、訂正版のご発行をお願いいたします。 つきましては、[日付]までにご送付いただけますと助かります。 ご対応のほど、お願いできますと幸いです。
- 宛名と対象の請求書番号が合っているか
- 日付と期限がそろっているか
- 依頼内容を一文で確認できる本文になっているか
訂正依頼の伝え方で見るポイント
訂正依頼の伝え方は、次の4点で整理します。直す対象の見分け方、送る前の社内の備え、書き方の配慮、送信前の見比べです。
以下では、直す対象の見分け方(書類名ではなく目的を見る/日付と金額を別々に見る)を説明します。続いて、送る前の社内の備えとして、確認者を先に決める方法を取り上げます。次に、書き方の配慮として、事実と評価を分けて書く方法を説明します。最後に、送信前の見比べとして、宛名と対象がずれていないかを見る方法と、添付資料がそろっているかを見る方法を説明します。
書類名ではなく目的を見る
「請求書を直してほしい」という依頼は、書類名だけでは目的が伝わりません。直してほしいのが金額なのか、宛名なのか、日付なのかを明示すると、相手の作業時間が短くなります。
目的を一文で書くときは、対象と依頼内容をセットにします。たとえば「[対象項目]の記載が誤っているため、訂正版のご発行をお願いします」のように書くとよいでしょう。
日付と金額を別々に見る
請求書の訂正でよくあるのが、日付の記載ミスと金額の記載ミスです。この2つは原因も確認方法も違うため、同じ文面の中でも分けて書いたほうが伝わります。
日付のミスは、発行日や支払期限の確認で済むことが多いです。一方、金額のミスは見積書や契約内容とのすり合わせが必要になることがあります。直す箇所を分けて書けば、相手も確認する資料を絞れます。
複数の項目を直してほしいときは、テンプレート3を参考にしてください。「現状の記載→正しい内容」を1項目ずつ行に分けるのがおすすめです。この書き方なら、読み手は項目ごとに内容を追えます。箇条書きにせず一文に詰め込むと、相手はどこから手をつければいいか迷ってしまいます。
確認者を先に決める
社内で誰が最終確認をするかを、依頼文を送る前に決めておきます。確認者を先に決めておくと、相手から訂正版が届いた後の社内確認がスムーズになります。
確認者を1名決めておけば、返信が複数人に分散しません。対応の重複や確認漏れも防ぎやすくなります。
依頼文の文末か社内メモに、確認担当者の名前を残しておくと、返信を受けた人がすぐに引き継げます。
事実と評価を分けて書く
依頼文では、事実と評価を分けて書くことをおすすめします。「対応が遅い」「確認が足りない」のように相手を評価する言葉を使うと、やり取りの空気が重くなりやすいからです。
事実だけを書くときは、「[発行日]付の請求書で、[対象項目]の記載が[正しい内容]と異なっていました」のように書きます。日付・項目・内容を並べるこの書き方なら、相手の対応や姿勢に触れずに、確認してほしい事実だけが伝わります。
相手の対応に触れず、日付・項目・内容だけを並べる書き方は、見積もり依頼の断り方の文例と同じ考え方です。角を立てずに断る場面でも使える書き方なので、言い換えの参考にしてみてください。
宛名と対象がずれていないかを見る
依頼文でよくあるミスが、宛名と請求書の対象企業がずれていることです。複数の取引先とやり取りしている場合、テンプレートを使い回すときに宛名だけ直し忘れることがあります。
送信前に、宛名、請求書番号、発行日の3点を見比べる一手間を入れると、宛名違いの依頼文を送ってしまう事故を減らせます。
添付資料がそろっているかを見る
訂正や再発行の依頼では、元の請求書や見積書を添付していないと、相手が内容を特定できないことがあります。本文だけで伝えようとせず、対象の書類を添付するか、請求書番号を明記しておきます。
用途別の判断フレーム
場面・依頼文の目的・相手に求める行動の3つを並べて確認する表を、ここでは判断フレームと呼びます。判断フレームは正解を固定する道具ではなく、確認順をそろえるための道具です。
| 場面 | 依頼文の目的 | 相手に求める行動 |
|---|---|---|
| 金額の記載ミスを見つけたとき | 事実の確認と訂正の依頼 | 訂正版の発行と再送 |
| 原本を紛失・破損したとき | 同一内容の再発行依頼 | 同じ内容での再発行 |
| 支払い処理後に誤りが分かったとき | 処理状況の共有と訂正依頼 | 訂正版の発行と社内連携 |
表の3行目のように、支払い処理が進んだ後の訂正は、相手の社内処理にも影響します。依頼文の中には、処理状況を一言加えておきましょう。「現時点では未処理です」「すでに支払い済みです」のように書いておくと、相手は対応順を判断しやすくなります。
実務で使う前に直すところ
テンプレートをそのまま使うと、宛名や日付が前回の案件のまま残っていることがあります。送信前に3つの箇所を見直すと、再送のやり取りを減らせます。
相手名と対象を直す
テンプレートの宛名、会社名、請求書番号は、案件ごとに差し替えます。前回のメールをコピーして使う場合、本文中の対象項目だけ直して宛名を忘れることがあります。上から順に読み直すのがおすすめです。
日付と期限をそろえる
発行日、支払期限、依頼した日の3つの日付が本文内でそろっているかを確認します。日付がずれていると、相手がどの請求書の話か特定できなくなることがあります。
依頼内容を一文で確認する
本文を書き終えたら、相手に何をしてほしいのかを一文で言えるかを確認します。一文で言えない場合は、依頼内容が複数混ざっている可能性があるので、見出しを分けるか別の文面に分けることを検討します。
似た依頼をするときの時間を短縮するには、定型化した文面を用意しておくのがおすすめです。請求書送付メールの文面のような基本テンプレートと合わせて、社内で使い回せる形にしておくと管理しやすくなります。
- 宛名・会社名・請求書番号を案件ごとに差し替えたか
- 発行日・支払期限・依頼日の3つの日付がそろっているか
- 相手にしてほしい行動を一文で言えるか
まとめ
請求書の訂正・再発行の依頼文は、目的・タイミング・相手に求める行動の3点を先に決めると、現場で迷いにくくなります。書類名で考えるのではなく、相手に何を直してほしいのか、いつまでに必要なのかを先に決めることが出発点です。本文を事実の確認→依頼内容→次の行動の順に分けて書けば、相手も迷わず対応できます。
テンプレートはそのまま使うのではなく、案件ごとに宛名と対象を直してから送ることを忘れないようにしてください。小さな確認を重ねることが、やり直しのやり取りを減らす一番の近道です。
次に確認すること
まずは、社内で訂正や再発行の依頼が多い請求書を一つ選んでください。目的・タイミング・相手に求める行動の3点で整理し、あわせて社内の確認者を1名決めてみましょう。用途別の判断フレームの表に、いつまでに必要かを書き足して使うと、次に同じ場面が来たときの対応時間が短くなります。
Q&A
訂正依頼と再発行依頼は何が違いますか?
訂正依頼は金額や日付、品名などの記載ミスの一部を直してほしいという依頼で、再発行依頼は原本の紛失や破損、宛名違いなどを理由に同じ内容の書類をもう一度発行してほしいという依頼です。どちらの依頼かを本文の最初に書いておくと、相手が対応範囲を誤解しにくくなります。
依頼文を書く前に決めておくことは何ですか?
目的(金額・日付・項目など)、タイミング、相手に求める行動の3点を先に決めると、文章の順番も自然に決まります。何を直してほしいのか、いつまでに必要なのか、相手に何をしてほしいのかを、依頼文を書く前に整理しておきましょう。
依頼文を送る前に確認しておくべき点はありますか?
宛名・会社名・請求書番号を案件ごとに差し替えたか、発行日・支払期限・依頼日の3つの日付がそろっているかを見直します。さらに、相手にしてほしい行動を一文で言えるかを確認すると、依頼内容が複数混ざっていないかをチェックできます。
著者
塩野谷 拓
2nd CORE代表。建設会社で7年間、総務・経理を中心とするバックオフィス実務を経験し、2022年に独立。
現在はフリーランスとして、一人社長・個人事業主を中心に、事務・経理代行、バックオフィス業務改善、Web制作を支援しています。現場で培った経験をもとに、実務で役立つバックオフィスの整え方を発信。

