備品の発注から在庫まで一つの表で管理しようとして、列が増え、どこに何を書けばいいか迷うことはありませんか? 発注の進み具合を見たいだけなのに、在庫の残り数まで同じ行に押し込んで、結局どこを更新すればいいのか分からなくなることもあると思います。発注と在庫を一つのファイルの中で、役割の違う2枚のシートに分けてしまえば、この迷いはなくなります。
総務部の備品管理台帳の作り方は、一つのファイルを発注・入荷シートと在庫受払シートに分け、備品コードと発注IDでつなぐことです。
総務部の備品管理台帳の作り方
ここで説明する備品管理台帳の作り方は、1つのファイルの中に2枚のシートを持たせる方法です。発注から入荷までを扱う「発注・入荷シート」と、在庫の動きを1行ずつ記録する「在庫受払シート」です。
2枚を分けておくと、発注の経緯を追いたいときは発注・入荷シートを、在庫の動きを追いたいときは在庫受払シートを見ればよくなります。つなぐ鍵は備品コードと発注IDの2つです。シートを分けておけば、発注担当は発注・入荷シートだけを更新し、在庫の記録は在庫受払シートの担当者が進められます。更新する人が別でも、台帳が混ざらずに済みます。
2シートの列
列の数は多く見えますが、発注1件分の情報と在庫1回分の動きをそれぞれ漏れなく追うための列です。まず発注・入荷シートです。発注1件につき1行を記入します。
| 列名 | 記入する内容 |
|---|---|
| 発注ID | 発注1件ごとに振る番号(例:PO-001) |
| 備品コード | 備品ごとの管理コード |
| 品名 | 備品の名称 |
| 発注目的 | 何のために発注するか |
| 発注日 | 発注した日 |
| 発注数 | 発注する数量 |
| 単位 | 個・箱などの単位 |
| 見積額 | 見積りの金額 |
| 発注担当 | 発注前の情報を記入する人 |
| 承認者 | 発注前に内容を承認する人 |
| 入荷日 | 品物が届いた日 |
| 入荷数 | 実際に届いた数量 |
| 入荷確認者 | 届いた品名と数量を確認する人 |
| 保管場所 | 保管する場所 |
| 備考 | 数量差など例外の理由だけを書く |
発注担当は発注前の情報を記入する人、承認者は発注前に内容を承認する人、入荷確認者は届いた品名と数量を確認する人です。この3つの役割を1行の中で分けて記入します。見積額や保管場所は、発注時点で分かっている範囲を記入しておけば十分です。
次に在庫受払シートです。在庫が動くたびに1行を追加します。区分は開始残高、入荷、払出、棚卸調整の4種類です。
| 列名 | 記入する内容 |
|---|---|
| 日付 | 在庫が動いた日 |
| 備品コード | 備品ごとの管理コード |
| 品名 | 備品の名称 |
| 区分 | 開始残高・入荷・払出・棚卸調整のいずれか |
| 入庫数 | 入ってきた数量(ない行は0) |
| 払出数 | 出ていった数量(ない行は0) |
| 残数 | 直前の残数+入庫数-払出数 |
| 記録者 | 開始残高、入荷、払出、棚卸調整の各行を記録した人 |
| 確認者 | 棚の実数と台帳の残数を照合した人 |
| 発注ID | 入荷の行だけに記入し、他の行は空欄 |
| 備考 | 棚卸調整の理由だけを書く |
記録者は開始残高、入荷、払出、棚卸調整の各行を記録した人、確認者は棚の実数と台帳の残数を照合した人です。発注IDは入荷の行だけに記入し、開始残高、払出、棚卸調整の行は空欄にします。区分を使い分けることで、同じ在庫受払シートの中でも、いつ何が起きたのかを後から見分けられます。
備考欄は万能メモ欄にしません。発注・入荷シートの備考には数量差など例外の理由だけを書き、在庫受払シートの備考には棚卸調整の理由だけを書きます。他の用途には使いません。
記入手順
記入の順番は、準備、開始残高、発注、入荷、払出、棚の実数確認の6段階です。
準備
最初に発注・入荷シートと在庫受払シートを同じファイルの中に用意します。列の見出しはここまでの列定義通りに固定しておきます。残数の列は、「直前の残数+入庫数-払出数」の式を入れる方法と、記録者が計算して記入する方法のどちらにするかを、運用を始める前に決めます。列の順番を変えてしまうと、後から他の人が記入するときに迷いやすくなります。
開始残高
在庫受払シートの最初の行は、区分を開始残高にします。棚を数えた数量を、入庫数と残数の両方へそのまま記入します。この行だけが、棚の数量を直接書く行です。発注IDは空欄にします。開始残高の行がないと、次の行の残数がどの数字から始まったのか分からなくなります。
発注
発注する備品が決まったら、発注・入荷シートへ1行追加します。発注ID、備品コード、品名、発注目的、発注日、発注数、単位、見積額、発注担当、承認者までを記入します。入荷日、入荷数、入荷確認者はこの時点では空欄のままにしておきます。
入荷
品物が届いたら、同じ行の入荷日、入荷数、入荷確認者を記入します。入荷確認者は、届いた品名と数量を見て確認した人です。発注数と入荷数に差があれば、備考へその理由を書きます。
同時に在庫受払シートへも区分を入荷として1行追加します。この行の発注IDには、発注・入荷シートで使った同じ発注IDを記入します。発注・入荷シートの入荷確認者と、在庫受払シートの記録者が別の人でも、発注IDをそろえておけば行の対応に迷いません。
払出
備品を使う人へ渡したら、在庫受払シートへ区分を払出として1行追加します。この行の発注IDは空欄にします。残数の列に式を設定した場合は、払出数を記入すると残数が表示されます。式を使わない場合は、直前の残数から払出数を引いた数を残数へ記入します。
棚の実数確認
定期的に棚を数え、台帳の残数と見比べます。差があれば区分を棚卸調整として1行追加し、差が出た理由を備考に書きます。この行の発注IDも空欄にします。確認者には、この照合をした人の名前を記入します。棚卸調整は、差が出た分だけ入庫数か払出数のどちらかに記入し、残数を実際の数量に合わせます。
架空の完成例
備品コードST-001、品名コピー用紙A4、発注ID PO-001を使った架空例で、実際の数量や発注IDは自社の備品に合わせて置き換えてください。
発注・入荷シートには、発注ID PO-001、備品コードST-001、品名コピー用紙A4、発注数10という行ができます。在庫受払シートは次のように動きます。まず開始残高の行で、棚を数えた数量である5を入庫数と残数の両方へ記入します。発注IDは空欄です。
次に入荷の行で入庫数10、発注IDにPO-001を記入します。残数は直前の残数5に入庫数10を足した15になります。そして払出の行で払出数7を記入します。発注IDは空欄のままです。残数は直前の残数15から払出数7を引いた8になります。
運用前の確認
この台帳を実際に回す前に、次の4つを確認しておくと安心です。
- 発注1件を発注・入荷シートへ1行で記入できるか
- 在庫が動くたびに在庫受払シートへ1行追加できるか
- 同じ備品コードと発注IDで両シートを照合できるか
- 台帳の残数と棚の実数を照合できるか
この4つがその場で「できる」と答えられれば、台帳の形としては十分です。どれか1つでも「できない」と感じたら、列の見出しや記入の順番を見直すタイミングです。
よくある失敗
発注IDを払出や棚卸調整の行にも書いてしまい、どの行が入荷によるものか見分けにくくなるケースがあります。発注IDは入荷の行だけに記入し、他の区分では空欄のままにしておきます。
備考欄に何でも書き込んでしまい、数量差や棚卸調整の理由が他のメモに埋もれてしまうこともあります。備考は決めた用途だけに絞ったほうが、後から読み返しやすいです。
開始残高の行を作らずに運用を始めてしまい、最初の入荷の入庫数がそのまま残数になって、棚の実数より少ない数で台帳が進んでしまうケースもあります。棚を数えた数量は、開始残高の行へ最初に記入しておきます。
備品コードを決めずに品名だけで管理してしまうと、表記のゆれで同じ備品が別々の行に見えてしまいます。発注前に備品コードを決めておくと、この混乱を防げます。
まとめ
総務部の備品管理台帳の作り方で迷ったら、一つのファイルを発注・入荷シートと在庫受払シートに分け、備品コードと発注IDでつなぐ、この形に戻れば大丈夫です。開始残高で棚の数量を書き、発注と入荷を発注・入荷シートで追い、払出と棚卸調整を在庫受払シートで記録する。この順番を守るだけで、発注から在庫までが1つの台帳の中でつながります。次に台帳を開くときは、開始残高の行から順に、発注、入荷、払出、棚卸調整の並びを確認してみてください。
Q&A
発注・入荷シートと在庫受払シートは、同じ備品でも必ず分けて記入しますか。
はい。発注・入荷シートには発注1件につき1行、在庫受払シートには在庫が動くたびに1行を記入します。備品コードと発注IDで両シートをつなげば、発注の経緯と在庫の動きを別々に追えます。
発注IDは在庫受払シートのどの行に書きますか。
入荷の行だけに記入します。開始残高、払出、棚卸調整の行は空欄のままにします。
棚の実数と台帳の残数が合わないときはどうしますか。
在庫受払シートへ区分を棚卸調整として1行追加し、差が出た理由を備考欄に書きます。確認者が棚の実数と台帳の残数を照合した記録として、この行を残します。
著者
塩野谷 拓
2nd CORE代表。建設会社で7年間、総務・経理を中心とするバックオフィス実務を経験し、2022年に独立。
現在はフリーランスとして、一人社長・個人事業主を中心に、事務・経理代行、バックオフィス業務改善、Web制作を支援しています。現場で培った経験をもとに、実務で役立つバックオフィスの整え方を発信。

